無風日記

無からうまれた無太郎の無風な日々

【読書日記】風姿花伝(講談社学術文庫)

うすーい感想です。

 

最近ちょっと能に興味があるので、積んであった風姿花伝を手に取りました。

幽玄の美を追求し、能を完成させた世阿弥の秘伝書。そんなイメージだったので、とっつき難い、難解な書物だと思っていましたが、思いのほか具体的でわかりやすい。

成長に合わせてそれぞれの年頃にはどのような稽古をするとか、若さゆえの魅力があるがそれに頼り続けては芸は大成しないとか、「まことの花」のためにはどのような意識を持って稽古すべき、とか。

珍しいことが重要、ということを繰り返し述べているのは意外でした。意外性とか新鮮みとかマンネリを避けるとかそういうことだと理解しましたが、珍しいことで大衆にも目利きにも評価されるという興行主としての目線を重要視している。茶道とか武道とかの自己修練、求道的な態度の内向性とは異なり、観衆に開いた外向性の重視は、高い芸術性を持ちつつも人を楽しませる芸なのだという、ある種当たり前のことにきづかされました。